慢性の痛み情報センター
代表的な慢性痛(レジストリ一覧)

MG30.0 慢性一次痛(例:過敏性腸症候群、非特異的慢性腰痛、線維筋痛)
MG30.1 慢性癌関連疼痛(例:慢性癌疼痛、慢性化学療法後疼痛)
MG30.2 慢性術後および外傷後疼痛(例:切断後の慢性疼痛、火傷後の慢性疼痛)
MG30.3 慢性二次筋骨格痛(例:持続性炎症による慢性筋骨格痛、変形性関節症に関連する慢性筋骨格痛)
MG30.4 慢性二次内臓痛(例:持続性炎症または血管機構からの慢性内臓痛)
MG30.5 慢性神経障害性疼痛(例:慢性疼痛性多発神経障害、慢性中枢後脳梗塞)
MG30.6 慢性二次性頭痛または口顔面痛(例:慢性口顔面筋肉痛)
MG30.Y その他の特異性のある慢性痛
MG30.Z 慢性痛(分類不能:Unspecified)
である。
この下に小分類(子カテゴリー)があるのでWHOからコーディングツールのサイトがあるので参照いただきたい(https://icd.who.int/ct11_2018/icd11_mms/en/release#/)。
尚、ICD11の多層分類の開発にあたっては同じ診断が1つ以上の親カテゴリーに包含されることも可能にすることとしている。すなわち各診断(子カテゴリー)は1つの親カテゴリーとして保持するが、別の2つ目の親カテゴリーとして持つことも出来る。例としては“慢性の化学療法後疼痛”は一つの親カテゴリーとして慢性癌性疼痛と別の親カテゴリーとして慢性神経障害性疼痛を持つことが出来ることとしている。

MG30.0 慢性一次痛(例:過敏性腸症候群、非特異的慢性腰痛、線維筋痛)
3ヶ月以上持続または再発し、有意な感情的苦痛または有意な機能障害(日常生活の活動への干渉および社会的役割への干渉)に関連し、説明困難な1つ以上の解剖学的領域における疼痛である。別の慢性疼痛分類によって説明できないものであり、多くの病因が不明な慢性痛のために作成された現象学からの定義。 筋骨格または神経障害性疼痛に同定されていない腰痛、慢性的な広範な疼痛、線維筋痛および過敏性腸症候群などの一般的な症状がここに分類される。尚、疼痛を引き起こす生物学的知見については存在していてもよい。

MG30.1 慢性癌関連疼痛(例:慢性癌疼痛、慢性化学療法後疼痛)
原発癌自体または転移(慢性癌疼痛)またはその治療(慢性癌後疼痛)によって引き起こされる疼痛である。 それは、併存する疾病によって引き起こされる疼痛とは異なる。 痛みががんやその治療に起因する可能性は非常に高いものがこの項目に入るものであり、その起源が曖昧な場合は、一次痛のセクションでのコード。

MG30.2 慢性術後および外傷後疼痛(例:切断後の慢性疼痛、火傷後の慢性疼痛)
慢性の術後および外傷後の痛みは、外科処置または組織損傷(火傷を含む任意の外傷を伴う)を受けて治癒過程を超えて、すなわち手術または組織外傷の少なくとも3ヶ月後にも持続する疼痛である。 痛みは、手術野または傷害領域に局在する、或いはその領域にする神経の神経支配領域にまで分布するか、またはデルマトームに分布する。(手術/外傷による深部体性感覚または内臓組織への損傷)と呼ばれる。 感染、悪性腫瘍などの痛みの他の原因、既存の疼痛の問題から継続する疼痛は除外する必要がある。 手術の種類によっては慢性術後および外傷後疼痛はしばしば神経障害性疼痛であり得る。 神経障害のメカニズムが重要であっても、この項目にカテゴリー付ける。 痛みの術後または外傷後の病因が非常に考えられるものをこの項目に入れるべきである。

MG30.3 慢性二次筋骨格痛(例:持続性炎症による慢性筋骨格痛、変形性関節症に関連する慢性筋骨格痛)
関節、骨、筋肉、脊柱、腱および関連軟部組織における持続的侵害受容に由来する慢性疼痛状態であり、局所および全身の病因を伴うが、深部体性感覚組織病変にも関連する。 痛みは自発的であっても運動誘発であってもよい。 痛みが内臓病変に関連している場合は、慢性内臓痛の診断が適切かどうかを検討する。 また神経障害のメカニズムに関連する場合、慢性神経障害性疼痛の下でコードする。尚、 痛みのメカニズムが非特異的である場合、慢性的な筋骨格痛は慢性の一次痛の下でコードする。急性疼痛(MG31)慢性神経因性疼痛(MG30.5)慢性一次性疼痛(MG30.0)慢性二次内臓痛(MG30.4)は除外する。

MG30.4 慢性二次内臓痛(例:持続性炎症または血管機構からの慢性内臓痛)
慢性内臓痛は、頭頸部領域および胸部、腹部および骨盤腔の内臓器官に由来する持続性または再発性疼痛である。 痛みの内臓病因は非常に有望であるべきである; 漠然としている場合は、慢性一次痛のセクションでコードを使用することを検討する。神経障害性疼痛(8E43.0)は除外する。

MG30.5 慢性神経障害性疼痛(例:慢性疼痛性多発神経障害、慢性中枢後脳梗塞)
体性感覚神経系の病変または疾患によって引き起こされる慢性疼痛である。 疼痛は、自発痛もしくは痛みを伴う刺激に対する応答の増大(痛覚過敏)または通常は非疼痛性の刺激(アロディニア)に対する痛みとして誘発され得る。 慢性神経因性疼痛の診断には、神経系傷害または疾患の病歴および痛みの神経学的に妥当な分布が重要である。 体性感覚神経系の関与を示唆する脱落所見(例えば、感覚の低下または損失)や感覚症状・徴候(例えば、異痛症または痛覚過敏)は、障害された神経の神経支配領域と適合しなければならない。 なお、三叉神経痛(8B82.0)ヘルペス後神経痛(1E91.5)幻肢痛(8D8A.01)についてはコード化にあたって別項目とする。

MG30.6 慢性二次性頭痛または口顔面痛(例:慢性口顔面筋肉痛)
慢性の二次的な頭痛および顔面痛は、原因を当該部に有するものであり、少なくとも3ヶ月間の少なくとも50%に日々に痛みを生じているものである。 1日あたりの疼痛の持続時間は、少なくとも4時間(未治療)であるか、または1日あたり数回のより短い激痛が生じる。病因が曖昧な場合は、慢性一次痛のセクションでコードを使用することを検討する。 なお、二次性頭痛(8A84)、頭部への外傷性損傷に起因する急性頭痛(8A84.0)、頭部への外傷性損傷に起因する持続性頭痛(8A84.1)、頭頸部損傷に起因する頭痛(8A84.Y)、頭蓋骨または頚椎の血管内頭蓋障害に起因する頭痛(8A84.Y)、非血管性の頭蓋内障害に起因する頭痛(8A84.Y)、ホメオスタシスの障害に起因する頭痛(8A84.Y)、顔または首の障害に起因する頭痛または顔面痛(8A84.Y)、物質に起因する頭痛(8A84.Y)、 薬物離脱による頭痛(8A84.Y)、薬物乱用頭痛(8A84.Y)は別項目とする。