脊髄損傷後の痛み:思考と感情
ヒント 1
痛みを軽減し、生活の質を高める方法について学びましょう。
ヒント 2
前向きな思考や瞑想法は、脳を訓練して痛みを軽減するのに役立つ可能性があります。
このエピソードでは、思考や感情が痛みの感じ方に与える影響について学びます。 疼痛管理に対する心理的アプローチは、痛みを小さくする手法を習得する助けとなるように考案されたものです。
各ビデオを見たら、「私のヘルスプラン」のリンクにアクセスし、あなたの進捗状況や目標を記録してください。医師や医療従事者があなたに合った治療プログラムを作成できるよう、SCIの痛みアンケートに記入してください。
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- Thoughts and Feelings
- http://www.blackdoginstitute.org.au/factsheets/index.cfm
Black dog institute - The Sleep Cycle
NPS Medicinewise - The Pain Tool
www.nhs.gov.uk - http://www.allaboutdepression.com/relax/
All About Depression - http://www.psychologytools.org/download-audio-therapy-resources.html
Psychology Tools - http://scia.org.au/
http://scia.org.au/peer-support
SCIA - https://www.facebook.com/beyondblue
Beyond Blue - http://www.beyondblue.org.au/get-support/get-immediate-support
Beyond Blue - https://www.lifeline.org.au/
Lifeline - http://www.painmanagement.org.au/
APMA - http://www.breathworks-mindfulness.org.uk/
- http://breathworks-mindfulness.com.au/
Breathworks - http://www.facingdisability.com
Facing Disability.com - https://www.meditainment.com/pain-management
Guided Meditation
Transcript: 脊髄損傷後の痛み:思考と感情
怪我を負った当時、私はショックを受け、呆然としていました。
私の人生はこれからどうなるのか、どこに向かい、何が起こるのか、何も分からず、すっかり道に迷ってしまったようでした。
でも脊髄損傷科の支援と他の皆さんからのアドバイスのおかげで、進む道をなんとか見つけ、困難と向き合うことができるようになりました。今では、できないことはないと思っています。
考え方ややり方を変えることさえできれば・・、自分の歩みを止めてしまうのは自分自身なのです。
脊髄損傷はそれだけでも大きなストレスになる出来事ですが、患者さんの多くは、脊髄損傷では痛みが残る場合があることを予想しておらず 、怪我が回復する過程でも痛みが治まらず、なかなか消えないとは想像もしていません。
ですから、脊髄損傷の上に痛みの問題を抱えることは、非常にストレスの大きな経験となります。
脊髄損傷を抱えているストレスによって痛みのゲート が開いてしまうことがあり、これは痛みがより大きくなることを意味します。
もちろん、痛みが強いほど感じるストレスも大きくなり、不安が増すことで悪循環に陥ります。
そして患者さんは、その痛みが何を意味するのかと心配されます。
例えば、脊髄損傷が悪化しているために痛いのではないかと心配されることも多く、
そのため何かをすることに慎重になり、活動をしなくなってしまうことがあります。
生活から楽しいことがなくなれば憂うつな気持ちになるのは当然で、これは患者さんにとって大きな問題となる可能性があります。
私はとても忙しい社会生活を送っています。
友達や家族がたくさんいて、定期的に出掛けて行って会い、一緒にレストランで食事をしたりします。
楽しいことをして痛みを閉じ込めてしまうのが私のやり方です。
外に出掛けて、人と会って楽しむのです。
外に出掛けて楽しい活動に取り組み、身体の健康を維持することは、心の健康のためにも非常に大切です。
例えば中等度のうつ病では、運動には抗うつ薬と同じくらいの効果があることが分かっています。
このように、運動だけでも役立つものですが、一緒に楽しい時間を過ごせる仲間と外に出て活動したり、喜びや達成感を味わうことができる何かに取り組んだりすることは、気分を高めるのに非常に効果的です。
痛みがあれば、大切だった活動でもあきらめてしまいがちなのは当然です・・が、そういった活動をほんの少しでも再開してみることをお勧めします。
そうです・・私は・・何か熱中できることがあれば気が紛れる、そう考えるようにしています。
痛みに苦しんでいる自分はなんてかわいそうなんだ、とじっと座って考えているよりも、何かに熱中している方がずっとずっと良いのです。
もちろん悪い日もありますが、そんな日にじっと座って「ああ、なんて痛いんだろう」と考えていると、さらに痛みが強くなる気がします。しかし「痛いけれど、立ち上がってやるべきことをやらなければ」と思うと、痛みから気を逸らすことができ、そこまで痛みのことを考えなくて済みます。
慢性疼痛の自然な経過として、痛みの強さは変動することが知られています。
つまり良い日も悪い日もあるということで、悪い日のことを、「痛みのフレアアップ」と呼んでいます。
このような日々を乗り切るのはとても大変なこともあり、患者さんはしばしば、「この先、痛みにうまく対処していくことができるのだろうか」と考えたり、「痛みがここまま悪化していくと、やっていけなくなるかもしれない」といった不安にさいなまれます。
その結果、将来への希望を失ってしまうことさえあります。
私は、早い段階で、痛みについての考え方を変えることがとても大切だと気付くことができました。
当初は状況の悪い面ばかりを考えるネガティブな思考パターンにはまり込んでいたのですが・・人生にはいつも何かしら良いことがあるものだと気づきました。
それに目を向ければ、つまり人生の良いことに積極的に集中すれば、人生の悪いこと・・、人生の中でそんなに良くないことが・・ちょっとかすんで見えるようになります。
そうすれば、強くなれます。他にやりたいことの選択肢を探したり、他のチャンスに目を向けられるようになります。そして、重い痛みのことを考え、痛みとともに生きていかなければならないという思考回路から抜け出せます。
つまり、良くない考えは横に押しやり、それは確かに存在するけれども人生を前向きに生きようと考えることができるようになるのです。
人生の悪い面に目を向けるのではなく、良いことに目を向けることが大切です。
自分が障害のために「できないこと」 を数えたりしてはいけません。
同じような境遇の人はたくさんいるのですから。「できないこと」ばかり数えていてはいけません。同じような境遇の人はたくさんいるのです。
大切にすべきなのは、あなたが「できること」です。
「できないこと」ではないのです。
「できない」ではなく「できる」に目を向けましょう。
痛みに非常にうまく対処している患者さんでも、ときに無益な思考にとらわれることがあります。
そんなときにできることが、いくつかあります。
ときには、ただその考えが消えていくのを待つのもよいかもしれません。
それを受け入れはしても注意は向けず、そのことで悩まないようにします。
あるいは、その考えとじっくり向き合ってみるのもよいでしょう。そして、それが役に立つことか、助けになるか、そもそも真実なのかを見極めるのです。
そして、あなたの状況についてもっと前向きな考え方はないか考えてみます。
例えば、痛みのフレアアップが起きたときには、それから長い間、痛みにうまく対処していけるだろうかと心配になるかもしれません。
そして当然、落ち込んでしまうでしょう。
しかし、状況をよく見なおしてみましょう。
過去にもフレアアップが起き、乗り切ったことがあったのではないでしょうか。
ということは、今後も対処できると安心でき、自信がもてるかもしれません。
フレアアッププラン は、あらゆる疼痛管理の方策を活用して、強い痛みが続く期間をできるだけ短くすることにより、痛みによる負の影響を最小限に抑えるための計画です。
その最初のステップは、思考をできるだけ前向きなものに変えることです。
そして、次の方法を使いましょう。活動の優先順位を決める、活動のペース配分を調整する、リラクゼーション法や瞑想法を用いる、薬を効果的に使用する・・ことです。
私は常に意志を強くもち、恐怖と向き合うよう努力しています。
痛みのことは考えないようにして、マッサージやストレッチをして意志を強くもつようにします。これは本当に役に立ちます。
脊髄損傷と痛みとを抱えながら生活していると、ストレスを強く感じたり、筋肉のこわばりが強くなったりすることがあります。そんなときには、リラクゼーション法や瞑想法が役立つかもしれません。
ストレスを軽減し、筋肉をできるだけリラックスした状態に保つのに役立ちます。
そしてもちろん、痛みも小さくなります。
なかでも瞑想法は特に重要です。
ポジティブなことだけに意識を集中するようにします。
瞑想法は、つらい痛みに注意が向かないようにする方法で、痛みのことは忘れて、良いことに気持ちを向けるようにします。
これには信じられないほどの効果があります。
物事がよりクリアに見えるようになり、痛みがとてもつらいフレアアップの時期を乗り越えるのを助けてくれました。
自分でできることがたくさんあります。
以前楽しんでいた活動を痛みのためにやめてしまう患者さんがとても多いですが、やめてしまっても、再開することができないわけではありません。
再開するときのポイントの一つのは、自分にとって大切な活動を少しずつ始め、時間をかけてだんだんと慣らしていくことです。
例えば、車いすで出掛けて何かの活動をするのに慣れようとするなら、休憩時間を一定の間隔で設ける必要があるでしょう。
これは痛みの管理だけでなく、疲労のコントロールや、床ずれを起こさないための皮膚のケアのためでもあります。
他に大切な方策として、活動の「ペーシング」と呼ばれるものがあります。
これは活動に時間制限を設けることです。
何らかの活動を再開してしばらく続けている場合でも、痛みが悪化しないように、一定の間隔で休憩が必要かもしれません。
例えば、学業や職場への復帰を考えている場合は、一日のうち学習や仕事をする時間に制限を設ける調整が必要でしょう。
これは休憩をとって痛みをリセットし、より長い時間、効率的に活動できるようにするためです。
やりたいと思えば、ほとんど何でもできるものです。
違うやり方で試してみようという気持ちさえあれば、可能なのです。
痛みに邪魔をされないようにコントロールする方法をたくさん学んで、うまく活用すればよいのです。
「脱感作」という疼痛管理の方策としてはあまり知られていない方法があります。
これは、脊髄損傷後によくみられる痛みである神経障害性疼痛がある場合に、特に効果的です。
この方法では、痛みは注意を引くものであることを前提としています。
痛みがあると自然にそちらに気を引かれてしまいますが、それは日常生活において大きな妨げとなる可能性があります。
直感では分かりにくいかもしれませんが、脱感作では、逆に痛みに注意を向ける訓練を行うことで、長期的には痛みが気にならない背景音のように感じられるようにします。
比喩的な例を挙げると、窓から美しい景色が見える部屋に入ると、初めは景色に目を奪われると思います。
しかし時間が経つと景色に注意が向かなくなり、ただの壁紙のように見えるかもしれません。
脱感作では、定期的な訓練によって、これと同じことを起こすのです。
自分で試してみるべき手法の一つです。
別の方法であまり効果が得られなくなってきている場合に、試してみるとよいかもしれません。
試行錯誤になりますが、自分に合う方法を探してみましょう。
私には名付け子がいるのですが、その子を膝にのせてあげると、いつも膝が痛んでいました。
初めのころは、「よし、もう20秒経ったから、降りておくれ」と思っていましたが、「いや、もうちょっと我慢してみる、膝に乗っているといいさ」と考えるようにしたところ、これが膝の痛みの脱感作に役立ったようです。
自分を甘やかし、「膝が痛くなるからこれはできない、あれもできない」という考え方をやめたのです。
「ちょっと風が吹いているから外に出られない」とか「風がすね毛にあたって痛くなってしまう」というように考えるのをやめました。
代わりに、表に出て少しの間、風の中で腰を下ろし、それから家に入るようにしました。
名付け子を膝にのせるにしても、短い時間だけのせてあげることから始めて、脚に重みがかかり、痛みを感じる時間を少しずつ長くしていきました。
これがうまくいき、今では膝の痛みを心配することはなくなりました。
風が強くても、雨が降っていても関係なく、出掛けています。
今までに学んだことは、私は自分で思っていたよりもずっと強い人間になれるということで、今も日々、強くなっていっていると感じます。
この姿勢をもち続けられるように努めていますし、これは誰もがもつべき姿勢だと思います。
そうすると目標が生まれ、人生がもっと良いものになります。
目標なく生活していると、何もせずに毎日が過ぎていきます。
誰しも人生の目標が必要です。
障害があっても、なくても同じです。
目標がなければ、目安を設定すればよいのです。
それもなければ、ただじっとしているだけで進むことができません。怪我を負った当時、今のような生活は想像できませんでした。
ただ呆然とし、途方に暮れていました。
今では、全てが自分の中にあると考えています。
あなたの人生を変えられるのはあなた自身なのです。人生へのアプローチを変えて・・修正して・・、痛みに人生を支配されないようにするのです。
困難と向き合い、挑んでいくことで、失うものは何もありません。
むしろ、人生がずっと明るいものになります。
スー ザン、ヴィト、ブライアンは、それぞれの生活を再び軌道に乗せることができました。
痛みは今も続いていますが、彼らは有意義な生活を送っています。
そして、3人とも、いろいろな方策をそれぞれ違った方法で活用していることが分かったと思います。
アイデアは同じでも、各自のやり方で実践し、自分のものにしていたようです。
医療チームのサポートのもと、皆さんも始めてみましょう。
ビデオの画面下にある「私のヘルスプラン」のリンクからPDFファイルをダウンロードして、疼痛管理計画を作成しましょう。
印刷してください。
それぞれのビデオを見終わったら、適切な項目に書き込んでください。
一度記入していただくだけで結構です。
記入したヘルスプランは、かかりつけの医師や医療従事者の診察を受ける際にお持ちください。
痛みを管理するうえで、素晴らしいスタートポイントとなるでしょう。