toggle
肩の痛み、膝の痛み、腰痛、神経痛など、慢性の痛みに関する総合情報サイト
2018-12-10

Topic No.131
アセトアミノフェンはNSAIDsと同様に変形性膝関節症の滑膜炎を抑制する可能性がある

Acetaminophen, like conventional NSAIDs, may reduce synovitis in osteoarthritic knees.
Brandt KD et al.Rheumatology. 2006 Nov;45(11):1389-94

 

要約

背景/目的:
変形性膝関節症に対するアセトアミノフェンの鎮痛効果はNSAIDsに劣るということが言われている。NSAIDs、アセトアミノフェンの変形性膝関節症の滑膜炎に対する影響を調査する。

方法:
NSAIDs(10例)もしくはアセトアミノフェン(20例)にて治療中の変形性関節症患者(WOMAC pain score15以上)を薬剤をwash out後にMRIにて滑膜組織量、関節液量を定量し、その後治療を同じ薬剤で再開し、痛みがbaselineまで戻った時に再度MRIにて滑膜組織量、関節液量を測定した。

NSAIDs10症例(1日投与量エトドラク800mg、700mg;イブプロフェン1800mg、2400mg;ロフェコキシブ100mg、200mg;ジクロフェナク150mg;スリンダク400mg;セレコキシブ800mg)とアセトアミノフェン20症例(1日4gまで)を比較した。

結果:
・薬剤再開後、WOMAC pain scoreはアセトアミノフェン症例: 50%、NSAIDs症例:49%低下。いずれも有意差をもって低下しているが、群間では有意差なし。

・薬剤再開後、関節液はアセトアミノフェン症例: 4.5ml、NSAIDs症例:3.3ml減少。いずれも有意差をもって減少しているが、群間では有意差なし。

・薬剤再開後、滑膜組織量はアセトアミノフェン症例: 2.7ml、NSAIDs症例:1.9ml減少。いずれも有意差をもって減少しているが、群間では有意差なし。

コメント

アセトアミノフェンの鎮痛効果の機序は明らかではないが、抗炎症効果は無いとされている。しかし、プラセボに比較して術後の組織腫脹が軽減する事、手術部位の皮膚温が低下するなど何らかの作用が存在することが示唆されており、この研究でも変形性膝関節症の様な軽度の「炎症」?を改善している可能性がある。

ホームページ担当委員:三木 健司