toggle
肩の痛み、膝の痛み、腰痛、神経痛など、慢性の痛みに関する総合情報サイト
2018-11-29

Topic No.31
人工膝関節置換術前のオピオイド長期使用

Chronic Opioid Use Prior to Total Knee Arthroplasty.
Michael G. et al. JBJS (Am) Vol93. 2011

 

要約

目的:
人工膝関節置換術前のオピオイド使用が術後成績に影響を与えるかについての研究。

方法:
人工膝関節置換術前に6週間以上オピオイド治療を受けた患者と受けていない患者とを比較。
オピオイド治療グループ45名49膝、非オピオイドグループ45名49膝。

結果:
1.人工膝関節置換術前のオピオイド長期使用は、在院期間を長くする。
2.人工膝関節置換術前のオピオイド長期使用は、再度手術室での処置を必要とする可能性が高くなる。
3.人工膝関節置換術前のオピオイド長期使用は、術後の疼痛コントロールが不良になる。
4.人工膝関節置換術前のオピオイド長期使用は、術後成績が悪い

コメント

結果だけを見ると、少々ショッキングであるが、研究内容には若干の問題があると考える。症例数が少なく、膝関節の疾患・患者のバックグランドが統一されていない。 最も大きな問題は、使用されていたオピオイドの種類が弱オピオイドから強オピオイドまで多種多様であり、使用量もモルヒネ換算で20mg-300mg と非常に幅広い。 本研究の結果をもって、人工膝関節置換術前にオピオイドを使用するべきでないと結論付けるのは難しいと考える。 しかし、「運動器の疼痛コントロールを漫然と行ってはいけない」という警鐘を鳴らすという点での意味は大きいと考える。運動器の疼痛コントロールは、病態生理の理解とその他の治療選択肢の提示が適切にできる医師が行うべきであると再認識した。

ホームページ担当委員:園畑 素樹