Topic No.55変形性関節症に対する電話支援の効果
Telephone-based self-management of osteoarthritis: A randomized trial.
Allen KD, et al. Ann Intern Med. 2010 Nov 2;153(9):570-9.
要約
変形性膝関節症または股関節症患者を対象に、月1回の電話による自己管理支援の効果を無作為化試験で検討した(アメリカ)。
方法:
変形性膝関節症または股関節症患者 515名に対して、
① 月一回の電話による関節症セルフマネジメントプログラム(N=172)
② 月一回の電話による一般ヘルスケアプログラム(N=172)
③ 通常の治療プログラム(N=171)
上記3群に無作為に分けて、12か月後の治療効果をArthritis Impact Measurement Scale(AIMS)2を用いて判定した。
結果:
関節症セルフマネジメント電話支援による介入は、通常ケア群・一般ヘルスケア電話支援群と比較して、12カ月時点のAIMS2の疼痛スコアの平均がそれぞれ0.4、0.6低く、機能スコアの平均が0.1、0.2低く、またVAS疼痛スコアの平均が1.1、1.0低かった。
また、電話プログラムのコストに関しては年間患者一人当たり、関節症セルフマネジメントで118ドル、一般ヘルスケアで63ドルであった。
コメント
従来の受動的治療介入と、患者自身に能動的治療を意識させる介入を評価した研究といえる。 本研究では、痛みの他、機能に関しても評価しているが、セルフマネジメントプログラムと通常の治療で効果に差がないことも興味深い。 一方、本研究は1年間の短期介入で終わっているため、本プログラムの長期予後の有用性が期待されるところである。
ホームページ担当委員:池本 竜則