Topic No.123小児CRPS患者の治療介入による扁桃体の反応
The responsive amygdala: Treatment-induced alterations in functional connectivity in pediatric complex regional pain syndrome.
Simons LE, et al. Pain. 2014 Sep;155(9)
要約
背景/目的:
扁桃体は痛み、報酬、恐怖、不安などに関与しているとされている。脳機能画像を行うことにより扁桃体と他の領域の関連や小児CRPS患者に3週間入院での運動療法、認知行動療法中心の学際的なアプローチを行ったあとの治療効果判定を脳機能画像で行う。
対象/方法:
○ 10-18才のCRPS患者12名(うち2名は削除)vs 12 healthy control subjects(age and sex matched)。
○ 被験者は片側下肢に症状あり 、Budapest criteriaの基準(IASP2005の基準)を満たす、経験豊富なpain physicianが診断 、右利き 。
○ 治療前の小児CRPS患者の扁桃体と他の領域との関連性とコントロールの比較及び治療前後での脳機能画像を行うことにより治療効果の判定。
結果:
○治療前のCRPS患者:
左扁桃体:prefrontal cortex, motor cortex, parietal lobe, bilateral middle cingulateにコントロールに比べ機能的結合が増えている。右扁桃体:右parietal lobe, 右occipital lobe, temporal lobe, 右小脳にコントロールに比べ機能的結合が増えている。
○治療前後での比較:
学際的な治療により、左扁桃体とprefrontal cortex, motor cortex, parietal lobe, bilateral cingulated, bilateral anterior insular, 小脳のloble IXの機能性結合が低下した。右扁桃体には変化なかった。
○痛みに対する恐怖との関連:
治療前のCRPS患者では痛みに対する恐怖が強いと左扁桃体とprefrotal cortex, bilateral middle temporal lobe, bilateral anterior anterior cingulated cortex, left anterior insular, left hippocampus, parahippocampal gyrus, 脳幹、小脳と強い機能性結合が有った。治療後のCRPS患者で痛みに対する恐怖が低下した患者では、左inferior frontal gyrus, left superior frontal gyrus, left supplementary motor, left anterior cingulated, left insula, left thalamusと左の扁桃体の機能性結合が低下した。
コメント
小児CRPS患者は中枢機能障害性疼痛との考え方がある。運動療法、認知行動療法など学際的なアプローチをすることで得られた治癒効果を脳機能画像での左扁桃体との機能性結合という点から判定することが可能かもしれない。
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