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2018-12-12

Topic No.157
慢性筋骨格系疼痛患者に対する歩行(walking exercise)の痛みおよび機能改善効果に関するシステマティックレビュー

Walking Exercise for Chronic Musculoskeletal Pain: Systematic Review and Meta-Analysis
O’Connor SR,et al. Arch Phys Med Rehabil. 2015; 96: 724-734

 

要約

はじめに:
筋骨格系の慢性痛に対して、有酸素運動のような非薬物療法が患者の痛みの軽減や機能の維持・増加に有効であると推奨される。歩行は負荷量の調節や実行しやすさの点で理想的な有酸素運動と考えられ広く推奨される一方で、筋骨格系疾患に対しての歩行の効果のエビデンスは十分でない。今回、筋骨格系の慢性痛を有する成人に対する歩行の痛みおよび機能改善への効果をシステマティックレビューにて検証した。

方法:
1980年1月から2014年3月までに発表された論文を対象に、成人の筋骨格系慢性痛(慢性腰痛、変形性関節症、線維筋痛症)に対して歩行を介入として実施している論文を抽出し、無作為対照化され、研究の質が担保された27研究(参加者2384名)を取り込みレビューした。また、そのうち17研究をメタ解析に供した。

結果/考察:
メタ解析の結果、歩行は痛みの改善に対しては短期(無作為化から8週間以内)および中期(8週間から12か月)では軽度から中等度の効果があった。12か月より長い長期効果については認められなかった。機能の改善に対しては短期、中期、長期のいずれも軽度から中等度の効果を認めた。慢性筋骨格系疼痛に対して歩行は、他の運動と比較して、痛みと機能の改善に効果があるといえ、慢性筋骨格系疼痛患者にwalking-based exerciseが推奨される。

コメント

慢性筋骨格系疼痛全般をまとめて歩行の効果を検証した初のシステマティックレビューである。有酸素運動では、線維筋痛症など一部の筋骨格系疼痛患者ではむしろ疼痛が増悪するとの報告もあるなかで、歩行は痛みの改善が認められると結論づけている点は興味深い。個々の患者にどのように負荷量を設定するのかについてや、アドヒアランスを良好に保つための方法論などについての検討が今後必要になると考える。

ホームページ担当委員:下 和弘