Topic No.25疼痛患者と疼痛有訴者における疼痛関連カタストロファイジング
Pain-related catastrophizing in pain patients and people with pain in the general population.
de Boer MJ, et al. Eur J Pain 2012 16(7):1044-1052.
要約
疼痛”患者”(Patient)とアンケートで疼痛が”ある”と訴えた者(Community pain)、疼痛のない者(No pain)において、カタストロファイジング(破局化思考)、疼痛強度、疼痛専門家への受診、薬剤使用の関係を横断調査。
方法/結果:
疼痛患者群(150名,男41%,18-86歳)、電話アンケートで疼痛があると回答した疼痛有訴者群(137名,男68%,25-82歳)と疼痛がないと回答した疼痛なし群(239名,男70%,19-86歳)を対象に下記のカタストロファイジングと疼痛の関係について調査した。
1)カタストロファイジング Pain Catastrophizing Scale (PCS)
2)疼痛
・強度(NRS)
・疼痛の訴え ”痛みがあるか?(過去6か月を含め)”
・過去の受診歴 ”痛みのために専門家を受診しているか?”
・薬剤の使用 ”痛みのために薬剤を使用しているか?”
結果/考察:
疼痛患者(Patient)の疼痛強度とカタストロファイジングは疼痛有訴者(Community pain)に比べ有意に高かった。疼痛患者群のPCS全体,反芻,無力感は疼痛有訴者群よりも有意に高かったが、拡大視については有意差がなかった。ただし、拡大視については、疼痛患者群は疼痛なし群(No pain)と比較すると有意に高かった。(下図Image_4_1)
また、両群ともPCSとNRSは正の相関を示した。(下図Image_4_2)
専門外来の受診については、両群で疼痛強度が強い予測因子となっており、疼痛有訴者群のみPCSが高いほど受診率も高かった。薬剤使用については、疼痛有訴者で疼痛強度、PCSとも高く高齢で女性の方が薬剤使用率が高かった一方、疼痛患者ではどの変数も影響しなかった。
疼痛に関するカタストロファイジングは疼痛患者だけでなく疼痛有訴者にも存在し、用量(受診や薬剤使用)反応パターンを示していることから疼痛にかかわる医療費の重要な決定因子であり、そのため、スクリーニングや早期介入のターゲットとなりうる。
コメント
疼痛有訴者では疼痛強度が強くなるほどカタストロファイジングの傾向は強く、疼痛専門家受診や薬剤使用の頻度も高いことが明らかとなり、カタストロファイジングは疼痛と同様にアセスメントすべき重要なファクターである。
ホームページ担当委員:松原 貴子