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2018-12-04

Topic No.86
腰椎変性すべりに合併する多椎間狭窄症に対する手術方法

Single- versus multilevel fusion for single-level degenerative spondylolisthesis and multilevel lumbar stenosis: four-year results of the spine patient outcomes research trial.
Smorgick Y, et al. Spine. 2013;38(10):797-805

要約

背景/目的:
腰椎変性すべり症に対する手術治療は、除圧単独より固定術の方が成績は良いとの報告が多い。しかし、単椎間腰椎変性すべりに多椎間腰部脊柱管狭窄症を合併した場合、(単椎間固定+多椎間除圧)が良いのか、(隣接椎間障害予防を見越した多椎間固定)が良いのかを調べた報告は無い。そこで今回、Spine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)データ(N Engl J Med 2007)を用いたランダム化試験により調査した。

方法:
SPORTデータ中207人が多椎間除圧+fusionを行っており、そのうち130人が(単椎間固定+多椎間除圧)、77人が(多椎間固定術)を施行された。分離症は除外した。
評価基準;Primary outcomeは1,2,3,4年後のSF-36とODIとし、Secondary outcomeは、脊柱管狭窄症Index(0-24;低値の方が症状軽い)、下肢痛の程度(0-6; 低値の方が症状軽い)、腰痛の程度(0-6; 低値の方が症状軽い)、患者満足度とした。

結果:
いずれの期間(術後1年、2年、3年、4年)、いずれの評価基準(Primary, Secondary outcome)においても両群間で有意な差はなかった。
手術時間、手術時出血において多椎間固定術群で有意に高値を示した。追加手術に関しては、1・2・3・4年後で両群間に差はなく15%前後の追加手術リスクだった。興味深いのは偽関節率が(多椎間固定)群0%に対して(単椎間固定+多椎間除圧)群2.4%と高値であった(下表)。

コメント

対象患者の年齢、男女、既往歴、内服歴、Global alignment、骨盤/下肢パラメーターなどにより、対象患者各々によってどちらの手術にするか選択する必要があり、一概に(単椎間固定+多椎間除圧)を選択は出来ないが、上記条件をパスしていれば(単椎間固定+多椎間除圧)を選択した方が良いように感じた。

ホームページ担当委員:竹内 幹伸