toggle
肩の痛み、膝の痛み、腰痛、神経痛など、慢性の痛みに関する総合情報サイト
2018-12-06

Topic No.91
膝OAの肥満患者に対する集中ダイエットとエクササイズの効果

Effects of intensive diet and exercise on knee joint loads, inflammation, and clinical outcomes among overweight and obese adults with knee osteoarthritis: the IDEA randomized clinical trial.
Messier SP, et al. JAMA. 2013 Sep; 310(12):1263-1273

要約

はじめに:
変形性膝関節症(膝OA)は生体力学要素と炎症の両方が原因となって起こる疾患であるが、肥満は膝OAの主要なリクスファクターの一つである。本研究では、集中ダイエット(体重10%の減量)とエクササイズが膝関節負荷、炎症、臨床評価を改善させるかを検証した。

方法:
シングルブラインドのランダム化比較試験を施行した。
レントゲン上の膝OAがあり痛みを有する454人の肥満患者を、
●集中ダイエットとエクササイズを行う群(D+E)
●集中ダイエットのみを行う群(D)
●エクササイズのみ行う群(E)
の3群にランダムに振り分け、18か月間の集中ダイエットとエクササイズのプログラムを行った。
膝関節負荷、血清中IL-6、WOMAC疼痛スケール、WOMAC機能スケール、健康関連QOL評価としてSF36を評価した。

D+E群は、D群およびE群よりもWOMAC疼痛スケール、WOMAC機能スケール、SF36身体機能で有意に改善した。D+E群およびD群はE群よりも血清中IL-6の有意な減少を認めた。D群はE群よりも膝関節負荷の有意な減少を認めた(表)。

コメント

集中ダイエットとエクササイズを組み合わせたプログラムは、集中ダイエットおよびエクササイズ単独よりも、膝関節痛および身体機能を改善させることが明らかになった。抗炎症作用としては、集中ダイエットの方が、エクササイズよりも効果を認めた。短時間の外来診察において、ダイエットの重要性や下肢筋力訓練を指導しても、それを実際に行ってる患者さんの方が少ない。集中ダイエットやエクササイズ、生活指導などを組み合わせたプログラムを、変形性膝関節症の肥満患者に対する治療として行っていく必要があると思われる。

ホームページ担当委員:阿漕 孝治