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2018-11-30

Topic No.67
頸椎症性神経根症患者での総合的理学療法の効果

Physical function outcome in cervical radiculopathy patients after physiotherapy alone compared with anterior surgery followed by physiotherapy:A prospective randomized study with a 2-year follow-up.
Peolsson A, et al. Spine (Phila Pa 1976). 2013 Feb 15;38(4):300-7.

要約

頸椎症性神経根症に対して前方固定術の有効性は報告されている。一方、頸椎牽引やカラーなどの理学療法については否定的な報告が散在する。しかし、認知行動療法や頸椎特異的エクササイズを含めた総合的理学療法の効果についての報告は無い。そこで、頸椎神経根症患者に対して、総合的理学療法単独群と前方固定術後に同様の理学療法を行った群において、身体機能評価をランダム化比較試験にて行った。

方法:
頸椎症性神経根症患者63人(34人男性、29人女性;平均年齢46歳)をランダムに2グループに分けた;①前方除圧固定術施行後、3ヶ月目から総合的理学療法を行う群(31人)、②総合的理学療法のみを行う群(32人)。
上記2群について、試験前、3、6、12、24ヶ月後で下記の身体機能評価を行った。
1)頸椎可動性(Neck active ROM)
2)頸椎筋力耐久力(NME)
3)握力(Hand strength)
4)手先の細かな運動(Manual dexterity)(小さいネジを小さい穴に入れる;制限時間内で何個入れる事が出来るか 個数を測定)
5)身長より高い壁にあるネジを抜く(Arm elevation)(時間を測定)

結果:
いずれの期間、いずれの項身体機能評価において両群間で有意な差はなかった。両群とも試験前と比較して全期間を通して、頸椎耐久性(NME)、利き手の握力、利き手の手先の細かな運動(Manual dexterity)は有意に改善した。
前方固定術を施行した群の方が、早期に症状改善に至るが、長期的に見て2群間で有意な差はなかった。

コメント

頸椎神経根症の治療に関しては、内服や、頸椎ストレッチだけでなく、症状を誘発している原因と、その病態を患者さんに理解してもらいながら、計画的かつ総合的な理学療法を行うことが、良好な長期成績を導くのに有効だと思われる。

ホームページ担当委員:竹内 幹伸