Topic No.10坐骨神経痛軽減のための薬:系統的レビューとメタ解析
Drugs for relief of pain in patients with sciatica: systematic review and meta-analysis.
Pinto RZ, et al. BMJ. 2012 Feb 13;344:e497. doi: 10.1136/bmj.e497.
要約
坐骨神経痛を有する患者の治療のためにプライマリ・ケアで普通に投与される鎮痛薬と鎮痛補助薬の有効性と耐用性について検討した。
方法:
研究の選択:薬とプラセボ、または坐骨神経痛に対する他の治療の有効性と耐用性を評価しているRCT。
結果:
23の論文がinclusion criteriaに合致した。NSAIDs、コルチコステロイド、抗うつ薬、抗てんかん薬、筋弛緩薬、そしてオピオイド鎮痛薬の有効性を判定したエビデンスは、中等度から低度の質であった。ほとんどで、プラセボを超えた有用な治療であることは示せなかった。慢性坐骨神経痛に対するコルチコステロイドに関する2つの研究の結果と抗てんかん薬ガバペンチンに関する一つの研究では、いくらかの有用性を示したが、短期間のみであった。副作用の平均発生率は、実薬で17%(10-30%)であり、プラセボで11%(3-23%)であった。研究の限界には、正当性が立証された評価法を使用しなかったり、長期のfollow-upが欠如していたり、症例数が少なかったり、というものが含まれていた。
結論:
臨床研究から得られているエビデンスは質が低いために、プライマリ・ケアにおいて坐骨神経痛の治療のために一般的に処方される薬の有用性と耐用性に関しては不明と言わざるを得ない。
コメント
エビデンスレベルは低いが、コルチコステロイドと抗てんかん薬は坐骨神経痛に効果があるようである。私たちは神経ブロックや運動療法などを併用して治療してしまうので、薬の効果だけを評価できていない。神経の炎症を抑えて痛みを軽減させようと考えて、まず処方するNSAIDだが、あまり意味がないのかもしれない。
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