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2018-11-29

Topic No.36
がん転移性骨痛に対する緩和的放射線治療の反応性を予測する体性感覚障害の特徴(探索的研究)

Quantitative sensory testing to assess the sensory characteristics of cancer-induced bone pain after radiotherapy and potential clinical biomarkers of response.
Scott AC. et al. Eur J Pain. 2012 Jan;16(1):123-33

要約

はじめに:
がん転移性骨痛(Cancer-induced bone pain, CIBP)は治療抵抗性である。痛みの性質や体性感覚障害の特徴は異なる痛みの病態に基づくと考えられ、治療反応性が異なることが示唆されている。CIBPを対象に網羅的体性感覚評価(QST)が緩和的放射線治療の有効性を予測するバイオマーカーになるかを探索的に調査した。

方法:
○がん骨転移(脊椎、上下肢、肋骨、他)部位に一致した疼痛があり、4-6週間の緩和的放射線治療をうけた患者23人を対象とした。
○緩和的放射線治療の実施前後に、痛みの性質およびQOL尺度としてBrief Pain Inventoryを調査し、体性感覚障害はQST(触覚、温冷刺激、機械的刺激)を調査し、緩和的放射線治療後の疼痛緩和(30%以上軽減)を予測する項目を探索した。

結果:
○緩和的放射線治療は57%で疼痛緩和が得られた。
○CIBPでは局所の体性感覚障害(各種感覚閾値の上昇)を伴うことが多いことが示された(表)。
○疼痛部位の熱感(warm perception)は治療反応性と相関し、治療後の機械的刺激閾値の上昇と関連した。

コメント

○CIBPでは局所の体性感覚障害(各種感覚閾値の上昇)を伴うことが多いことが明らかになったが、その病態は不明である。
○痛みの性質や体性感覚障害の特徴と治療反応性を結びつけた最初の報告で、オーダーメイド医療の基盤となり得る。

ホームページ担当委員:住谷 昌彦