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2018-12-04

Topic No.90
インターネットを利用した腰痛慢性化への予防介入

An occupational, internet-based intervention to prevent chronicity in subacute lower back pain: a randomized control trial.
del Pozo-Cruz B, et al. J Rehabil Med. 2012 Jun 7;44(7):581-7

要約

目的:
インターネットを利用した作業姿勢およびエクササイズに関する介入が、腰痛の慢性化を予防するかについて検討した研究。

方法:
対象は、大学に勤務する亜急性期の非特異的腰痛を有する労働者100名とし、無作為に介入群、コントロール群に割り付けた。
介入群には、介入を継続するように促すメッセージと、「今日のセッション」のリンクが貼られたメールが毎日送られた。「今日のセッション」は姿勢に関する注意事項を示した動画(2分)、姿勢の安定化に関連する筋力強化、柔軟性向上を目的としたエクササイズの動画(7分)、再度姿勢に関する注意事項を示した動画(2分)で構成される。コントロール群は標準的な腰痛予防に関する情報のみ与えられた。介入は9か月間実施した。
アウトカムは腰痛の程度と慢性化リスク(the Keele STarT Back Screenig Tool; SBST)、能力障害(the Roland Morris Disability Questionnaire; RDQ)、健康関連QOL(the European Quality of Life Questionnaire – 5 dimensions – 3 levels; EQ-5D-3L)とし、介入前後で評価した。

結果:
介入群で腰痛の慢性化リスクが有意に軽減した。SBSTの下位尺度では、介入群において機能障害と痛みに対する恐怖回避思考の改善がみられた。
また、腰痛の慢性化リスクと能力障害、健康関連QOLの間に有意な強い相関関係があり、関連が認められた。ロジスティック回帰分析では慢性化リスクの軽減にはSBSTの下位尺度である機能障害と痛みに対する恐怖回避思考の改善が関連することが示された。

コメント

労働者の非特異的腰痛の慢性化予防にインターネットを利用した介入が有効であることが示唆された。インターネットを利用した介入は、場所や時間の制約が少なく、特に予防のような継続的に介入が必要な場合には非常に有効なツールとなりうる。今後は、慢性腰痛へ対象を広げるとともに、費用対効果の検証が期待される。

ホームページ担当委員:下 和弘