toggle
肩の痛み、膝の痛み、腰痛、神経痛など、慢性の痛みに関する総合情報サイト
2018-11-30

Topic No.70
ビタミンDの補給が慢性痛を軽減し、睡眠を改善し、生活の質を改善しうる

Improvement of Pain, Sleep, and Quality of Life in Chronic Pain Patients With Vitamin D Supplementation.
Huang W, et al. Clin J Pain. 2013 Apr;29(4):341-7

要約

エモリー大学とアトランタVAメディカルセンターによる研究で、複数領域の慢性疼痛患者へのビタミンD投与の効果を検証した研究

対象/方法:
対象は2009年5月から2010年11月まで退役軍人医療センターを受診した複数領域に慢性痛を有する患者で、かつ血清中の25-hydroxyvitamin D[25(OH)D]濃度が30ng/mL以下の28人。
方法は、血清25(OH)D不足グループ(20?29ng/mL)にはビタミンD 1200 IU/dayで補われ、血清25(OH)D欠乏グループ(<20 ng /mL)には50,000IU/weekを3ヶ月間投与した。
評価は痛みスケール(0-10)、VETERANS RAND 36 ITEM HEALTH SURVEY(VR-36) の身体疼痛スコアとQOLスコア、ピッツバーグ睡眠質問票などについてビタミン補給の前後で検討した。

結果/結論:
ビタミンの摂取前と比較して、痛み、role-functioning emotionalの項目を除いたQOL、睡眠は全て改善した 。年齢、性別、BMI、季節、ベースラインの血清25(OH)Ds濃度サブグループなどについて調整した上でも、疼痛スコア(P<0.001)、睡眠潜時 (P=0.019)、睡眠時間(P=0.012)、bodily pain(P=0.014)、general health(P=0.006)、vitality(P=0.048)およびsocial functioning(P=0.017)等の項目において有意な改善を示していた。副作用の報告は無かった。

結論、複数の身体領域におよぶ慢性痛を持った退役軍人患者では標準化されたビタミンD追加は、疼痛の強さ、睡眠、QOLを改善するのに有効となりえる。

コメント

この文献の他にも、低ビタミンD血症の女性は慢性痛の有訴率が高いとする疫学研究()や低ビタミンD血症を有する非特異的運動器疼痛患者にビタミンD投与が有効 などの報告()があり、ビタミンDの臨床的な有用性が散見される。慢性痛に対する栄養指導の一環としてビタミンD摂取は一考の余地があると思われる。
ただし、ビタミンDは脂溶性であるため、長期にわたる過剰摂取には注意が必要である。安全摂取量は明らかではないが、健康成人においては250μg(10,000IU)/日までは安全で、継続的に2500μg(100,000IU)/日を摂取すると2~3ヶ月以内に毒性が認められるとされている。

ホームページ担当委員:井上 真輔