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2018-11-30

Topic No.60
ベンゾジアゼピン(BZD)の使用と認知症発症のリスク(前向き住民集団研究)

Benzodiazepine use and risk of dementia: prospective population based study.
Billioti de Gage S, et al. BMJ. 2012 Sep 27;345:e6231.

 

要約

方法:
少なくとも3年間BZDを投与されていない、かつ認知症が認められないフランスの南西部の1063名の65歳以上の男女(平均年齢78.2歳)を15年間経過観察し、認知症が発症するリスクを研究した。

結果:
15年間の経過観察にて253名が認知症となった。95名のBZD使用者の内30%が認知症となった。(コントロールは23.0%)。BZDの新規使用者の認知症発症のHazard ratio:1.60と高値であった。BZD使用者の背景としては教育歴がより短く、独身もしくは死別、うつ傾向があり、高血圧薬や抗血小板薬の内服の頻度が高く、ワインをあまり飲まないという傾向があった。

コメント

BZDは全世界的に広く使用されており、この調査が行われたフランスでも65歳以上の30%に使用されているが、日本ではフランス以上に使用されている。 診療ガイドライン上は数週間の使用に留めるとされているが、長期間連用している実態がある。またBZD使用にて転倒や骨折が増加することは明らかとなっている。不眠やうつ、不安に対してBZDは適応症となっているが、これらはすべて認知症の前駆症状の可能性もある、一旦認知症となると回復は困難であるため、BZDの長期投与による認知症の発症の可能性を考え、なるべく投与しないようにすることが重要と考えられる。

ホームページ担当委員:三木 健司