Topic No.76

人工股節置換術後の疼痛に対する耳ツボ刺激の効果

Auricular acupuncture for pain relief after total hip arthroplasty -a randomized controlled study-
Usichenko TI, et al. Pain. 2005 Apr;114(3):320-7.

要約

人工股関節置換術後の疼痛に対する耳ツボ刺激の効果を、RCTにより調査した。

方法：
耳ツボ刺激群（AA群）29名、コントロール群（耳のツボ以外を刺激）25名。
手術前日に、ツボ（下図参照）に専用の刺激針を留置
術後疼痛時（VAS 40mm以上）に針の上をマッサージしてツボを刺激。使用した鎮痛剤の量、疼痛スコア（VAS）、副作用などを調査。

結果：
1. 術後初回piritramide（オピオイド）使用までの時間はAA群が有意に長かった（p<0.05）。
2. 術後のpiritramide（オピオイド）使用量はAA群が有意に少なかった（p<0.01）。
3. VAS 値には有意差を認めなかった。
4. 合併症、副作用に差はなかった。

コメント

耳ツボ刺激による術後鎮痛をRCTの手法で評価した初めての研究であるので、データとして貴重なものである。本論文では、AA群とコントロール群のVAS値に差はなかったが、オピオイドの使用量を減らすことができるので、耳ツボ刺激は有用であると結論付けられている。 ツボ刺激の方法として、留置した置き針をマッサージするという方法をとっているため、コントロール群も耳介のマッサージを行うわけであり、ある程度のツボ刺激は加えられていると考える。にもかかわらず、有意差が認められたのは驚くべき結果である。術後鎮痛の一つのオプションとしたいところではあるが、鍼灸師以外が行っても同様の効果が出るのかどうかの検証が必要である。

ホームページ担当委員：園畑 素樹