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2018-11-29

Topic No.32
人工股関節・膝関節置換術後の中等度~高度の疼痛の予見

Predictors for moderate to severe acute postoperative pain after total hip and knee replacement.
Liu SS, et al. Int Orthop. 2012 [in press].

 

要約

目的:
人工股関節全置換術(THA)と人工膝関節全置換術(TKA)術後に中等度から高度の疼痛を有する患者のリスクファクターを調査すること。

方法:
多施設で行われたTHA、TKA 897症例を対象とした。
中等度以上の疼痛とは、pain score 4/10 とした。

結果:
1.術後中等度以上の疼痛を認めたのは、安静時20%、体動時33%であった。
2.若年、女性、高BMI、術前の強い痛み、オピオイド使用、抗鬱剤使用、抗けいれん剤使用、全身麻酔、そしてTKAが危険因子であった。

コメント

これまでにも、術後に強い疼痛を訴える患者の危険因子の報告はいくつもあるが、本論文は下肢人工関節に術式を限定しての多因子の解析である。 論文からは、一貫して疼痛コントロールは医療経済にとって良い影響をもたらすという考えがあるように感じた。医療経済の観点からの論調の是非はさておき、整形外科分野ではまだ馴染みが薄いERAS(enhanced early after surgery)もしくはfast track recovery program といった術後の回復をよりスムーズにするために疼痛管理は重要であるという点を踏まえての研究である点は注目すべきである。 このような危険因子を念頭に入れておくことは、臨床上重要であると考える。考察でも述べられているが、周術期の疼痛だけでなく、長期にわたって術後の疼痛が持続する症例の危険因子の研究が待たれるところである。

ホームページ担当委員:園畑 素樹