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2018-12-06

Topic No.94
変形性膝関節症の痛みが配偶者の睡眠に及ぼす影響

The impact of dairy arthritis pain on spouse sleep.
Martire LM et al. Pain 154, 1725-1731, 2013

 

要約

背景/目的:
慢性痛は、本人だけではなく配偶者の心理社会的な健康状態と関わっていることが知られているが、患者の痛みの程度や夫婦の親密度が配偶者の睡眠に与える影響は明らかでない。本研究の目的は、変形性膝関節症の毎日の痛みが配偶者の睡眠に及ぼす影響を明らかにすることである。

方法:
日常的に中等度以上の膝痛を有する変形性膝関節症患者とその配偶者(関節痛なし、ADL自立)、138組の夫婦に対し、コンピューターベースの22日間のインタビューを行い、計1740回の調査を実施した。
インタビューは朝起床後60分以内と夜就寝前に患者と配偶者について別々に行い、
調査(評価)項目は、
1)評価前30分間の痛み(0~3:no pain~severe pain)
2)睡眠の質(0~3:very good~very bad)
3)睡眠によってリフレッシュできたか(0~6:not at all~extremely)とした。
また夫婦の親密度を1~7(1:no overlap~7: almost complete overlap)としてスコアリングした。

結果:
●患者の就寝前の痛みとその夜の配偶者の睡眠の質および睡眠によるリフレッシュの程度の間に有意な負の相関を認め、この効果は、患者自身の睡眠の妨げや配偶者の抑うつ症状、併発症、否定的感情などと独立していた。
●配偶者の睡眠は翌日の患者の痛みとは関連しなかった。
●夫婦の親密度が高い方が、患者の痛みが配偶者の睡眠によるリフレッシュの程度に及ぼす影響が強かった。

コメント

膝の慢性的な痛みがパートナーの睡眠の質、リフレッシュの程度に及ぼす影響を調べたユニークな論文である。研究デザインに関して、睡眠障害についての詳細な情報やポリソムノグラフィーなどの客観的定量評価がない点が問題であるが、アイデアは面白い。夫婦の親密度が高い方が影響を受けやすいのは皮肉な結果であるが、このタイプの配偶者にリスクがあることを理解しておくことは、パートナーの健康状態を損なわないようにするcouple-oriented な治療を考えていくうえで重要かもしれない。

ホームページ担当委員:泉 仁