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2018-11-29

Topic No.48
慢性腰痛患者のリハビリテーションにおける心理的介入:システマティックレビューとガイドラインからの根拠と提言

Psychological interventions in the rehabilitation of patients with chronic low back pain: evidence and recommendations from systematic reviews and guidelines.
Reese C, et al. Int J Rehabil Res. 2012 Nov;18:[Epub ahead of print]

要約

慢性腰痛患者のリハビリテーションにおける心理的介入の効果について, システマティックレビューとガイドラインを基に要約した。

方法:
慢性腰痛患者に対する治療やリハビリテーションに関連するシステマティックレビューとガイドラインについて,データベースとウェブシートを用いて組織的文献検索を行い,その中で心理的介入(行動療法,恐怖回避訓練,ストレス管理,弛緩療法,患者教育)に関する項目を抽出し要約した。
なお,組織的文献検索は1990年1月から2009年11月までに発刊されたものを対象とし,システマティックレビューについてはコクランデータベースを用いて2011年12月に更新を行った。また,2010年に発刊されたナショナルガイドラインと2005年に発刊されたガイドラインのクリアリングレポートの参考文献を基に手作業で検索を行い,文献の補充を行った。

結果/考察:
522編のシステマティックレビューと371編のガイドラインの内,6編のシステマティックレビューと14編のガイドラインが包括基準を満たした。
慢性腰痛患者に対する行動療法(認知行動療法を含む),恐怖回避訓練,弛緩療法の有効性を判定したエビデンスは中等度から低度の質であるが,ほとんどのガイドラインにおいて推奨されていた。
一方でストレス管理の有効性を判定したエビデンスは認めなかったが,ドイツ語圏のいくつかのガイドラインでは推奨されていた。また,個別の患者教育の有効性を判定したエビデンスには一致した見解を認めなかったが,1編の例外を除く全てのガイドラインでは,リハビリテーションの一部として患者診察と教育を含むことが推奨されていた。

コメント

近年,慢性腰痛は先進国を中心に深刻な健康問題として注目され,その介入手段も姿勢や動作などの身体機能面に着目したアプローチから生物・心理・社会的アプローチへとパラダイムシフトしている。そのため,現時点では慢性腰痛患者に対する心理的介入の有効性を示すエビデンスの蓄積過程あり,今後は現代の集学的なリハビリテーション・プログラムの中で行われている心理的介入の効果について,質の高いエビデンスを蓄積していくことが重要であると考える。

ホームページ担当委員:坂野 裕洋