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2018-12-07

Topic No.129
日本人の頸椎レントゲン所見と頸部愁訴の関連性

Association between roentgenographic findings of the cervical spine and neck symptoms in a Japanese community population.
Kumagai G. et al. J Orthop Sci. 2014 May;19(3):390-7.

要約

背景/目的:
我が国の国民生活基礎調査において、日本国民(女性)で最も多い自覚症状は「肩こり」である。
一方、肩こりをはじめとした後頚部の愁訴の原因としては、頸椎アライメント異常、なかでも「ストレートネック」が有名であるが、このことを示す根拠はほとんど存在しない。そこで著者らは、頸椎矢状断のアライメントと頸部愁訴との関連性について調査した。

方法:
886名の対象者に対して、過去に頸椎の怪我や、リウマチなどの変形があるケースまたは、現在頸椎の病気で治療中のものを除外した762名(男性283、女性479)を本調査の対象とした。
○頚椎部の愁訴は、ここ1年間に後頚部の痛みや、肩こり(おもだるさこわばり)が生じたかどうかを調査し、その程度はVASで評価した。
○中間位側面のレントゲン画像から、C7椎体後縁の延長線に対して、C2椎体後縁の延長戦の交わる角度を計測し、頸椎アライメントを、-4度以下を前弯、-4度~4度をストレート、4度以上を後弯に分類した。
○同様のレントゲン画像から、各椎体の骨棘の数や椎間板高の狭小化、椎体終板の骨硬化などの変性所見を0~72点で数値化して評価した(0は変性なし)。886名の対象者に対して、過去に頸椎の怪我や、リウマチなどの変形があるケースまたは、現在頸椎の病気で治療中のものを除外した762名(男性283、女性479)を本調査の対象とした。
○頚椎部の愁訴は、ここ1年間に後頚部の痛みや、肩こり(おもだるさこわばり)が生じたかどうかを調査し、その程度はVASで評価した。
○中間位側面のレントゲン画像から、C7椎体後縁の延長線に対して、C2椎体後縁の延長戦の交わる角度を計測し、頸椎アライメントを、-4度以下を前弯、-4度~4度をストレート、4度以上を後弯に分類した。
○同様のレントゲン画像から、各椎体の骨棘の数や椎間板高の狭小化、椎体終板の骨硬化などの変性所見を0~72点で数値化して評価した(0は変性なし)。

結果:
○1年間で肩こりや頚部痛などの愁訴は、男性32名(11%)、女性255名(53%)に認められた。

○男性の有症状者の解析では、頸椎アライメントと変性所見、頸椎アライメントと頸部愁訴、変性所見と頸部愁訴、いずれも関連性は認められなかった。

○女性の有症状者の解析では、
(1)頸椎アライメントと変性所見に関連性があり、変性が強いほど前弯になりやすい傾向が認められた。
(2)変性所見と頸部愁訴に軽度関連性があり、変性が強いほど「痛み症状」が出やすい傾向が認められた。
(3)頸椎アライメントと頸部愁訴に関連性は認められなかった。

○頸椎アライメント分類(前弯、ストレート、後弯)で症状の生じやすさを解析した結果、いずれも差がみられなかった。

結論:
頸椎アライメントと頸部愁訴が関連する可能性は低い

コメント

インターネット検索で、「ストレートネック」というキーワード検索を行うとなんと100万件以上ヒットする。たしかに首を前かがみにすると、頸椎は前屈するのでストレートアライメントになり、後頸部の愁訴は生じやすくなるとは思われるが・・・。前かがみにならない状態での「ストレートネック」に意味はあるのだろうか?

ホームページ担当委員:池本 竜則