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2018-11-30

Topic No.63
脳卒中後疼痛の実態 -前向き研究-

Pain following stroke: A prospective study.
Hansen AP, et al. Eur J Pain 2012; 16: 1128-1136.

 

要約

脳卒中後疼痛は頻繁に出現し、患者のQOL改善の阻害因子となる。本研究は、脳卒中後疼痛の部位別にみた発症率、出現時期、程度などについて前向きに調査した初めての報告である。

方法:
● Aarhus大学病院にて脳卒中と診断され、発症後4日以内に問診および簡易な感覚検査を遂行できた患者299名を対象に、発症後3ヶ月および6ヶ月時点で電話での問診による追跡調査を行った。
● 調査中に観察された疼痛を以下のように分類した。
① 脳卒中発症時および発症後に新たに出現した疼痛
② ①の中でも、患側に出現し、脳卒中後疼痛が疑われる疼痛

結果:
● 脳卒中発症後6ヶ月時点において、患者の45.8%に新たに出現した疼痛が認められた。
(時期および部位別の出現率は図を参照)
● 脳卒中発症後6ヶ月時点において、脳卒中後疼痛が疑われたのは患者全体の10.6%であった。
● 75.9%が疼痛の程度をNRS 4以上と訴えた(中央値: 5(min – max: 1-10))。
● 女性が多く(p=0.042)、より若年(p=0.025)であった。
● 出現部位は上位から、上肢(37.9%)、下肢(20.7%)、上下肢(10.3)であった。
● 痛みの出現様式は上位から、自発痛(65.5%)、自発痛と誘発痛(20.7%)、誘発痛のみ(13.8%)であった。

コメント

脳卒中後疼痛は難治性で知られるが、本研究にて示されたように非常に発症率が高く、痛みの程度も低くはない。今後の治療法の発展が非常に望まれる分野と考えられる。(原著では部位別の傾向についても詳細に記載されている)

ホームページ担当委員:森本 温子