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肩の痛み、膝の痛み、腰痛、神経痛など、慢性の痛みに関する総合情報サイト
2018-11-30

Topic No.54
腰痛は遺伝的なものか、環境因子によるものか?

Nature or nurture in low back pain? Results of a systematic review of studies based on twin samples.
Ferreira PH, et al. Eur J Pain. 2013.

 

要約

腰痛の原因は多岐にわたることが知られている。本調査では、双子をベースとした腰痛調査のレビューを行い、腰痛に影響を及ぼす遺伝因子または環境因子について、統計分析を行った。

方法:
「双子」及び「腰痛」キーワードとして、Medline(68)、EMBASE(129)、CINAHL(29)、Web of Science(122)の文献から、特定の脊椎の病態が記されているものを除外した。最終的に、双子と腰痛に関連した27の調査報告をレビューした。各調査報告の対象となっている国は、デンマーク、アメリカ、スウェーデン、フィンランドであった。

結果:
○ 腰痛の遺伝的関与は 21% ~ 67%
○ 急性腰痛より慢性腰痛のほうが遺伝的影響が大きい
○ 喫煙は独立した腰痛のリスク要因(Odds ratio;3.0)
○ 肥満は独立した腰痛のリスク要因(Odds ratio;1.9)
○ アルコールと腰痛とは関連乏しい。
○ 喘息(Odds ratio;1.6)、糖尿病(Odds ratio;1.2)は腰痛のリスク要因

コメント

同じ「腰痛」といっても、急性腰痛より慢性腰痛のほうが、遺伝的影響が大きいということは頭に入れておくべきであろう。ただし今回の報告は、調査対象の国が限定されているので、人種を考慮した解釈に注意が必要である。 一方、環境要因の分析では、喫煙や肥満など生活習慣と関連する因子が腰痛の危険因子として報告されており、腰痛症が生活習慣病の一部である可能性を示唆するものと考えられる。

ホームページ担当委員:池本 竜則