toggle
肩の痛み、膝の痛み、腰痛、神経痛など、慢性の痛みに関する総合情報サイト
2018-11-26

Topic No.27
腰痛機能障害に関するガイドライン -総合医、作業療法士、および理学療法士の使用における職業間比較-

Guidelines on low back pain disability -Interprofessional comparison of use between general practitioners, occupational therapists, and physiotherapists-
Poitras S, et al. Spine. 2012 Jun 15;37(14):1252-9.

要約

背景:
多くの研究が、腰痛診療と遷延する機能障害予防に関しての臨床医の診療は不適切であることを示している。これらの不適切さを理解し、実行戦略を構築するために、臨床医のエビデンス使用の障壁について評価しておかなければならない。

目的:
カナダのケベック市で働く総合医(GPs)、作業療法士(OTs)、および理学療法士(PTs)における腰痛(LBP)機能障害の予防を目的として作成されたガイドライン使用の障壁を評価すること、そして健康関連専門職間での一致点と相違点を明らかにすること。

方法:
16人のPTs、8人のOTs、そして8人のGPsが、異なった経験レベルと診療地域(都会か田舎か)によって集められた。彼らは、最低2人の患者において、診療ガイドライン(学際的診療による腰痛クリニック[CLIP]ガイドライン、Table 1)の使用を求められた。
LBP機能障害の予防を目的として作成されたガイドライン使用の障壁を同定するために、個別の半構造化したインタビューが行われた。健康関連専門職間での障壁が比較された。

結果:
使用の障壁は、OTsで小さく、GPsで大きかった。そしてPTs間では相違がみられた。OTsは、ガイドラインに賛同し、ガイドラインが彼らの現在の診療と適合していると感じていて、ガイドラインの使用により遷延性の機能障害を予防できると考えていた。GPsとPTsは、ガイドラインが腰痛の病態生理に沿った治療に関する情報が十分ではないと考えていた。GPsは、日々の診療にガイドラインを用いることは困難であると考えていた。3群ともに、ガイドラインは患者の期待と相反してしまうと考えていた。

結論:
同定された障壁に取り組むためには、最も適している治療者に対してタスクを適応することでガイドラインの実施を提案するのがよい。GPsへのタスクは、投薬、red flagのスクリーニング、stay activeの推奨、そして安心させることを通しての痛み治療に焦点をあてるのがよい。PTsへのタスクは、疼痛治療、全身運動、そしてstay activeの推奨に集中させるのがよい。OTsへのタスクは、機能障害の予後、yellow flagの管理、そして通常の活動への復帰に焦点をあてるのがよい。遷延性の腰痛機能障害予防のためのこのガイドライン実施の有効性は、試してみて判断する必要がある。

コメント

カナダでは、職業関連性の腰痛のプライマリ・ケアはGPs、OTs、そしてPTsが一般的に担当している。日本の状況とは異なっているが、医師やPTが腰痛を機能障害としてではなく、組織損傷のような病態生理が存在し、それを治療する必要がある、と考えている点は日本と似ている。日本でも腰痛診療ガイドラインが出版されるが(10月下旬予定)、使用に関してはこの論文と同じ過程をとるのではないかと思われる。腰痛診療に関わる医療専門家だけでなく、広く医療関係者や患者にも腰痛診療ガイドラインの内容について理解してもらえるような啓発が必要であろう。

ホームページ担当委員:矢吹 省司