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2018-11-29

Topic No.38
腰部脊柱管狭窄症の痛みに対する仙骨部硬膜外ブロックにステロイドを入れることは有効か? -二重盲検ランダム化比較試験の1年結果-

Fluoroscopic caudal epidural injections with or without steroids in managing pain of lumbar spinal stenosis.
Manchikanti L, et al. J Spinal Disord Tech. 2012 Jun;25(4):226-34.

要約

腰部脊柱管狭窄症(以下LSS)患者の痛みに対する仙骨部硬膜外ブロックにステロイドを入れた群と局所麻酔薬のみの群とを比較した研究(アメリカ

方法:
100名のLSS患者をランダムに2群に振り分け、0.5%リドカイン10mlにてコーダルブロックを実施した群(Ⅰ群)と0.5%リドカイン9ml+betamethasone 1mlを混注した群(Ⅱ群)で治療を実施した。両群ともに2mlの生理食塩水でフラッシュした。rn評価項目は3、6、12ヵ月後のNumeric Rating Scale (NRS), Oswestry Disability Index(ODI), オピオイド使用状況、就業状況とした。

結果:
NRSは3、6、12カ月いずれも両群で差がなかった。rnODI、オピオイド使用量についても同様に全ての時期において差がなかった。rnただし両群いずれにおいても、仙骨部硬膜外ブロックにより約半数の患者で著明な痛みの改善が得られた。

コメント

本研究自体は、サンプルサイズ設定が正しいのか?評価時期がこれでいいのか?(もっと短期の成績も調査すべきではないのか?)rnNRSで評価しているのは腰痛なのか、それともLSSに特有の下肢痛なのか?など多くの疑問点があり、差がないという結果をそのまま鵜呑みにすることはできない。rnただ、2012年夏現在、アメリカの重鎮たちが中心となって「LESS study」という多施設大規模二重盲検ランダム化比較試験が進行中である。(研究プロトコルはBMC Musculoskelet Disord 13(48) 2012に掲載)このスタディの結果は2年後位に明らかになると思われるが、いよいよ仙骨部硬膜外ブロックにステロイド混注が有効か否かに対する決着がつくのかもしれないと期待している。

ホームページ担当委員:原 慶宏