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2018-11-29

Topic No.50
若齢者スポーツ選手における,有痛性の腰椎分離症に関するMRIを用いた研究

Painful lumbar spondylolysis among pediatric sports players: a pilot MRI study.
Sairyo K, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2011 Nov;131(11):1485-9.

 

要約

腰椎分離症の終末期である関節突起間部の欠損(Pars defect: PD)を呈した若年者スポーツ選手における腰痛に関するMRIを用いた病態解析。

方法:
特に伸展位で増悪する両側の有痛性腰椎分離症と診断された,18歳以下の6名の若齢スポーツ選手(男5,女1)を対象とした.いずれもCTにてPDによる偽関節を伴う終末期の腰椎分離症と診断された。
PD周辺の炎症の評価にMRIのSTIR(short time inversion recovery)の矢状断像により,炎症反応を示す有意な所見であるPD周囲の水腫像を頭尾側の椎間関節と共に評価した。

結果:
対象患者6名全てのPDで水腫が観察され,頭尾側の椎間関節では12関節中7関節(58%)がSTIRにて水腫を認め腰痛との関連が示唆された。図1に示される症例では強い腰痛があったが軟性コルセットの装用と1ヶ月間の投薬による保存加療の実施によりこれらの炎症所見は消失,スポーツ現場に復帰した。
(図1:STIR-MRIにおける分離部炎症の時間経過(14歳男子・サッカー)。初診時CTでは水腫を伴う終末期PDを認め,椎間関節においても水腫が認められた。3ヶ月にわたる保存加療の結果,これらの所見は消失した。)

結論:
PDを伴う有痛性の分離症患者においては,炎症とそれに伴う水腫がPDおよび隣接椎間関節に存在する。そのため,スポーツ活動においては偽関節部分にてまず炎症が起こり,隣接する椎間関節に波及することが考えられる。これはスポーツ選手における分離症終末期の腰痛の基本的な病態であるものと考えられる。

コメント

腰痛分離症はおおよそ全人口の6%に発症すると言われている。必ずしもその全てが腰痛に関与するわけではないという報告もなされているが,一方で若年者のスポーツ選手における腰痛の発生割合は約7~8割程度と高いことが報告されている。 本研究は若年者における腰痛の原因たりうる腰椎分離症の病態を画像的に解析したという点で価値が高い。今後,PDにおける組織学的評価や炎症性サイトカインをはじめとするケミカルメディエーターの測定など,より多角的な評価を行うことでより詳細な病態が解明されるものと考えられる。

ホームページ担当委員:折田 純久