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2018-11-30

Topic No.69
高齢者の筋骨格系の痛みの予後を知るための質問項目

Point-of-care prognosis for common musculoskeletal pain in older adults.
Mallen CD, et al. JAMA Intern Med. 2013 May 13:1-7.

 

要約

はじめに:
運動器の痛みはADL, QOLの障害因子である。特に高齢者では廃用などに繋がる危険があり、その予後予測に応じた治療介入が必要である。運動器の痛みの遷延化についての危険因子は複数のものが知られているが、慢性疼痛患者が最初に訪れるGP(general physician)が実臨床で使用できる簡便な危険因子のスクリーニング法を開発することを目的とした。

方法:
○ 50歳以上の運動器の痛みを持つ患者を対象とし、44箇所のGPで研究を実施し、各GPは患者の予後を予測した。痛みについて共通の問診と痛みの評価、QOL評価を行った。さらに6ヶ月後に同様の調査を行い、疼痛が遷延化している患者を同定した。
○ 疼痛遷延化の危険因子として知られている①痛みの罹病期間(3ヶ月以上)、②痛みの強さ(NRS=0-4, 5-6, 7-10)、③痛みによって日常生活がどの程度障害されたか?[NRS=0(全く障害されていない)-5, 6-10(完全に障害された)]、④痛みの数(2箇所以上)、⑤抑うつの有無[(1)気分が落ち込んだか?抑うつ的だったか?悲観したか?(2)何かをしようとする意欲を無くしたか?楽しくなくなったか?]を聴取し、GPの予測に対して、より正確に運動器疼痛の遷延化を予測する質問項目を多変量解析によって抽出した。

結果:
○ 48.3%の患者の疼痛が遷延化していた。
○ 痛みの罹病期間、痛みによるADLの障害、痛みの数の3項目が6ヶ月後の疼痛の持続を予想できた(下表)。

コメント

GPが運動器の痛みの予後予測をすることによって、専門医療機関に早期から患者を紹介したり、比較的高度な治療を提供する事に繋がる。
○ 極めて勘弁な質問項目による予後予測法が普及することによって、GPによる痛みの軽視も回避でき、痛み治療に対する患者満足度が高まる可能性がある。

ホームページ担当委員:住谷 昌彦