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2018-11-26

Topic No.16
カナダにおけるベンゾジアゼピン(BZD)長期連用に関する疫学調査

The epidemiology of long-term benzodiazepine use.
Neutel CI. Int Rev Psychiatry. 2005 Jun;17(3):189-97. Review.

要約

カナダにおけるベンゾジアゼピン(BZD)長期連用に関する疫学調査。

方法:
1994年から2000年にかけてカナダのNational Population Health Surveyのデーターベースを使用してベンゾジアゼピン(BZD)の長期連用について調査した。

結果/考察:
人口比4%がBZDを使用していた。女性、高齢、喫煙、英語が第1外国語でない、公費保険有り、高校未卒業の項目をもつ患者で、BZDの使用が多かった。
2000年の時点でのBZD使用に関する最も高いodds ratioは、1998年時点でのBZD使用者の38.6であり、他には抗うつ薬使用8.5、低健康状態4.0、ストレス状態3.7、痛みの存在3.1、慢性疾病2.9、うつ状態2.8であった。
長期連用に関しては2000年にBZD使用していた患者の48.4%は1998年にも使用しており、また17.6%は少なくとも6年以上連用していた。
2000年時点のBZD連用患者のodds ratioは、1994年から1998年のBZD連用で83.3、1996年から1998年のBZD連用なら63.9であった。
BZD連用患者の薬剤置換としてZopiclone(アモバン)が使用されるが、BZDと同様に依存性を示した。

BZD長期連用患者は、使用していない患者より不眠となり、退薬兆候、耐性などが認められる。58%の患者はBZDをやめようと試みたがやめられなかったとの報告もあり、長期連用のodds ratioは極めて高いことから、医師はBZD処方の際に中止が困難であることや長期連用となりやすいことを考慮して処方を開始すべきである。

コメント

BZDは抗不安、鎮静、筋弛緩効果を持ち、眠剤としても広く使用されている。しかし、数週以内の使用を原則とされているのにもかかわらず、数年以上や数十年使用されているおり、認知能力の低下、望まない鎮静、筋の協調性の低下、事故の多発が問題となっている。
日本でのBZD使用は国際麻薬統制委員会(INCB)に指摘されているようにカナダの約5.7倍で世界一であることから、カナダより深刻な状況であると考えられる。不眠や疼痛患者に安易に長期投与する事のないように医師、患者に情報提供することが重要であると考えられる。

ホームページ担当委員:三木 健司