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2018-12-14

Topic No.184
変形性股関節症患者のホームエクササイズ前におけるインターネットベース痛み対処スキルトレーニングの効果:ランダム化比較試験

Effects of internet-based pain coping skills training before home exercise for individuals with hip osteoarthritis (HOPE trial): a randomised controlled trial.
Bennell KL, et al. Pain 2018; Epub ahead of print

要約

目的:
対面式の痛み対処スキルトレーニングは変形性関節症患者の痛みと身体機能を改善させることが知られている。本研究の目的は、変形性股関節症患者を対象として、ホームエクササイズ前における8週間のインターネットベース痛み対処スキルトレーニングの効果を検証することとした。

方法:
対象は3か月以上の股関節痛を有し、歩行時痛がNRS 4以上の地域在住高齢者144名とした。痛み対処スキルトレーニング群は、インターネットベース痛み対処スキルトレーニングを8週間にわたって行い、対照群はインターネットを用いた教育を8週間行った。8週目から24週目には、理学療法士が5回対面し、ホームエクササイズを処方した。評価は介入前、8週目、24週目、52週目に行った。主要評価項目は、24週目における歩行時の股関節痛NRSと、WOMAC functionとした。副次評価項目は全般的な股関節痛NRS、WOMAC pain、QOL、痛み対処方略、自己効力感、破局的思考、不安、抑うつ、ストレス、身体活動量、有害事象とした。

結果:
・主要評価項目である24週目における歩行時の股関節痛NRSとWOMAC functionは、介入前と比較して両群ともに改善が認められたが、群間に有意な差は認められなかった。
・歩行時の股関節痛NRSは、8週目、24週目、52週目のそれぞれにおいて、群間に有意な差は認められなかった。
・痛み対処スキルトレーニング群のWOMAC functionは、対照群と比較して8週目において有意な改善が認められた。24週目、52週目においては群間に有意な差は認められなかった。
・副次評価項目については、8週目、24週目、52週目の痛み対処方略において、群間に有意な差が認められた。
・全般的な股関節痛NRS、WOMAC pain、QOL、自己効力感、破局的思考、不安、抑うつ、ストレス、身体活動量、有害事象については、群間に有意な差は認められなかった。

考察:
インターネットベース痛み対処スキルトレーニングは、即時的に痛み対処方略とWOMAC functionを改善させ、痛み対処方略に対する効果は持続した。主要評価項目において長期的な効果が乏しかった要因には、ホームエクササイズ期間に痛み対処スキルトレーニングを行わなかったことが関連している可能性が考えられた。

コメント

変形性股関節症患者において、インターネットベース痛み対処スキルトレーニングの効果が検証された。インターネットベースの介入にはコミュニケーションなどの課題があるものの、痛みにかかわる情報が広く提供されることが期待される。

ホームページ担当委員:林 和寛