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2018-12-12

Topic No.161
変形性関節症と慢性関節痛に対する バイオマーカーとしての指長パターン

Finger length pattern as a biomarker for osteoarthritis and chronic joint pain: a population-based study and meta-analysis after systematic review
de Kruijf M, et al. Arthritis Care Res (Hoboken). 2014; 66:1337-43

要約

目的:
指の長さのパターンにはいくつかのタイプがある。タイプ3と呼ばれるパターン(環指が示指より長い)は、出生前のアンドロゲンの影響を受けていることがこれまでに報告されている。変形性関節症には性差があり、女性に多いことが知られている。また、慢性疼痛にも性差があることも報告されている。本研究では、膝、股、手の変形性関節症と指長の関係、慢性関節痛と指長の関係を明らかにすることである(タイプ1:示指が環指より長い, タイプ2:同じ長さ)。

対象/方法:
Rotterdam studyの解析、過去の4つの報告と我々のデータ(4784例)を使用したメタアナライシスを行った。

結果:
Rotterdam study によると、タイプ3(環指>示指)は、手の変形性関節症と有意な相関を示したが、変形性膝関節症、変形性股関節症とは相関を示さなかった。メタアナライシスによると、タイプ3は疼痛を有する変形性膝関節症と有意な相関を示したが、症状のない変形性膝関節症(画像変化のみ)とは相関を示さなかった。Rotterdam study によると、タイプ3は多関節痛と相関を示した。

コメント

変形性関節症の成因には様々な因子が関与している。遺伝的要因、生活習慣、体重、外傷、加齢など様々である。本論文では、胎生期の性ホルモンへの暴露量と変形性関節症との関連を調査している。荷重関節である変形性膝関節症だけでなく、非荷重関節の手の変形性関節症も指長との関係があるとの結果が得られており、興味深い結果であると考える。今後の日常診療で、変形性関節症患者の指を何気なく観察してみようかと思ったりする。

ホームページ担当委員:園畑 素樹