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2018-11-26

Topic No.12
慢性疼痛患者では侵害刺激に対する側坐核の応答が変化している

Predicting value of pain and analgesia: nucleus accumbens response to noxious stimuli changes in the presence of chronic pain.
Baliki MN, Geha PY, Fields HL, Apkarian AV. Neuron 2010;66:149-60.

要約

慢性疼痛患者では侵害刺激に対する側坐核の応答が変化している。

方法:
慢性腰背部痛患者(CBP)と対照健常者(healthy)に,腰背部に熱刺激を繰り返し加え、fMRIで比較した。次に、CBP群で、側坐核と脳の他の部位との機能的結合性の違いについて、healthy群と比較した。。

結果:
賦活した神経核は,CBP群、healthy群も,視床,一次/二次感覚野,島皮質,帯状皮質,側坐核,扁桃体など,両群で類似していたが、CBP群では、healthy群に比較して,側坐核(NAc) の活動が、極めて高い確率で脳活動が低下していた(図上段)。
両群で、NAcは、両側扁桃体、尾状核、被殻、視床内側領域、PAG、腹側線条体、前帯状回(ACC)と有意な結合性を示した。両群とも、側坐核と島皮質、内側前頭前皮質の機能的結合性が高かった(図下段A)。またCBP患者では、自発痛の大きさが強いほど、側坐核と内側前頭前皮質の機能的結合性が高くなり、相関関係が認められた(図下段B)。痛みが強いほど、これらの脳領域で、より多くの情報が共有されていることが示唆された。赤のシンボルはCBP、ブルーの●は、健常被験者(図下段B)。

コメント

側坐核の活動は、慢性疼痛の痛みの緩和に重要な役割を果たしている。慢性疼痛患者では、不安、ストレスにより、ドーパミン鎮痛系の中枢である側坐核の機能が低下し、中枢性鎮痛機構の活動が低下している。慢性疼痛とは、脳内の可塑的変化により、中枢性鎮痛機構がうまく働いていない状態であると推察される。

ホームページ担当委員:福井 弥己郎