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2018-11-26

Topic No.21
慢性疼痛患者の介護者も、患者と同様に痛みにとらわれているか?

Do main caregivers selectively attend to pain-related stimuli in the same way that patients do?
Mohammadi S, et al. Pain 2012;153: 62-7.

要約

慢性疼痛は、健康に多大な悪影響を与え患者の生活の質(Quality of Life: QOL)を著しく低下させ患者を苦しめるだけでなく、患者家族(介護者)にも大きな負担となっている。慢性疼痛患者は痛みにとらわれ、痛みに対して集中した状態であると考えられる。さらに、このような傾向は介護者にも該当するかを評価した。

方法:
○慢性疼痛患者とその介護者、健常controlを対象に、痛みの破局的思考・不安/抑うつについてのアンケート調査を実施。
○痛み表情, 幸福表情, 中立的表情の顔写真を提示し、中立的表情への注意に比した痛み表情と幸福表情への注意の強さを心理物理実験で定量化した。

結果:
○慢性疼痛患者とその介護者は痛み表情に注意が向けられていた。
痛み表情への注意を示す指数をXとした場合、指数平均はそれぞれ、慢性疼痛患者ではmeanX=16.74、介護者ではmeanX=18.23、健常者では、meanX=-20.13であり、健常者は痛み表情に注意を向けない傾向だった。
○慢性疼痛患者の痛みを適切に評価出来ている介護者は痛み表情に対する注意が弱く、患者の痛みを過大あるいは過小評価している介護者は痛み表情に対してより強い注意を向けていた。

コメント

○慢性疼痛患者の介護者も疼痛に対してとらわれており、痛みを不適切に評価している介護者の方が痛みへのとらわれは強かった。 ○慢性疼痛疾患は心理社会的因子の影響を受けるため、介護者からの正当な評価は重要な治療意義を持つ。慢性疼痛患者の介護者も痛みにとらわれているので、介護者も治療対象として認識し痛みについての正しい知識を教育しなければならない。また、このような介入により本来であれば健康であるはずの介護者の負担感も軽減できるかもしれない。

ホームページ担当委員:住谷 昌彦