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2018-11-26

Topic No.22
痛みの破局的思考と抑うつが痛みに与える影響-顎関節症患者を対象とした前向きコホート試験

The effect of catastrophizing and depression on chronic pain-a prospective cohort study of temporomandibular muscle and joint pain disorders.
Velly AM, et al. Pain 2011;152: 2377-83

要約

痛みの破局的思考や抑うつ・不安は痛みの認知を歪曲する結果、慢性疼痛患者のADLやQOLを低下させ痛みの悪循環を引き起こす。これら痛みの情動因子について経時縦断的な調査を行った研究。

方法:
○591人の顎関節症患者を対象に、pre, post(18ヶ月後)の2時点で痛みの強度(Graded Chronic Pain Scale (GCPS): Ⅰ=軽度の痛みでADL障害無し、Ⅱ=強度の痛みだがADL障害無し、Ⅲ/Ⅳ=強度の痛みでADL障害あり)、痛みの破局的思考、抑うつ、顎顔面以外の疼痛の有無を評価した。
○Post時点での疼痛強度の予測因子を統計学的に解析した。

結果:
○18ヶ月のf/uにより多くの患者の痛みはGCPSで1段階軽快していた。
○痛みの破局的思考は、痛みの予後不良の予測因子であった。

コメント

○痛みの破局的思考は、予後不良を示す単独の予測因子であった。横断的に行われたこれまでの研究結果と一致する。 ○痛みに関連した破局的な思考は性格傾向とも考えられ、治療介入の対象として重要である。 ○認知行動療法などによる適切な痛みに対する理解を促し、痛みへのとらわれを改善させるための教育が慢性疼痛治療には必要である。

ホームページ担当委員:住谷 昌彦