Topic No.1491. COMT遺伝子多型が、椎間板変性に関連する。 2. COMT遺伝子多型が慢性腰痛患者の障害と関連するが、治療経過とは関連しない。
1. A Novel Catechol-O-Methyltransferase Variant Associated with Human Disc Degeneration
2. Catechol-O-methyltransferase (COMT) gene polymorphisms are associated with baseline disability but not long-term treatment outcome in patients with chronic low back pain
1. Gruber HE, et al. 2. Omair A, et al.
要約
背景/目的:
COMTはアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの代謝酵素である。この遺伝子には多型が存在し、酵素活性に関わる。 COMT活性が高ければドーパミンが代謝され、痛みの感受性が下がると言われている。
方法/結果:
論文1.
方法:40人の患者を対象とした。Thompson grade(I~V)を用いた椎間板変性の評価を行った。
COMTの4つの多型で、椎間板変性の程度の差を比較した。
結果:rs4633のC alleleを有する者はT alleleを有する者に比較して、椎間板変性が著しかった。
論文2.
方法:371人の慢性患者(ヨーロッパ)を対象とした。治療前後のODI、喫煙歴、鎮痛剤の使用の頻度、手術の有無を評価。COMTの5つの多型で、上記の差を比較した。
結果:rs4818, rs6269, rs4633, rs2075507の多型が治療前のODIに関連していた。Rs4633 C alleleを有する者のODIは2点程度低かった。ただし治療後の成績には関連がなかった。
コメント
2.はCOMT遺伝子多型が臨床症状と関わる可能性を示した論文である。 rs4633のCアレルが椎間板変性にも関わることが1.に示されており、椎間板性疼痛の1つの機序を示す可能性があり興味深い。ただし2つの研究とも検討数が非常に少ないと言わざるを得ず、結論は今後の検討によると思われた。
ホームページ担当委員:川口 善治