Topic No.1023Dプリンターで作成したScrewガイド
Multistep pedicle screw insertion procedure with patient-specific lamina fit-and-lock templates for the thoracic spine.
Sugawara T, et al. J Neurosurgery Spine. 2013;19:185-190.
要約
背景/目的:
頸胸移行部、上位胸椎の椎弓根Screw挿入は、側面透視下だと肩が邪魔をして見え難い。Freehandで挿入すると25-43%の確率で椎弓根皮質を破壊する。CTナビゲーション下で挿入しても8.5-11%で失敗する。近年、3Dプリンターの普及により様々なものが、簡便で安価に立体作成できるようになってきた。そこで、胸椎Screwガイドテンプレートを患者各々に3Dプリンターで作成し、テンプレートガイド胸椎椎弓根Screw挿入をおこなった。
方法:
対象は頸胸椎、胸椎疾患を持つ10名。
0.625mmスライスCTを撮影し、3Dモデルを作成しScrew trajectoryを計画する。挿入するScrew直径、長さもこの段階で決定しておく。 Screwを挿入するレベルのLamina型に完全一致したテンプレートを、3Dプリンターを用いて3種類作成した。
① Entry point holeを開けたテンプレート
② Probingするときの角度を決定するテンプレート
③ Screwを挿入するときの角度を決め、挿入する時に使用するテンプレート
*すべて手術前日にプラズマ殺菌をして手術時で使用した。
結果:
● 58Screw(T1-4; 40本、T5-8; 10本、T9-12; 8本)
● 椎弓根骨皮質を破壊した症例はゼロ。
● Screwの術前Planと実際のScrew挿入位置の誤差0.87+0.34mmだった。
● 価格は10レベル固定、すなわち20椎弓根Screwで250ドル
コメント
リウマチに伴う関節破壊など、脊椎不安定性由来の痛みに対し、脊椎固定術は標準的な治療法として定着している。翻訳者は頸胸移行部の椎弓根Screwを挿入するときは、側面透視が当てにならないため、CT basedナビゲーション下でおこなっている。しかし、術中の体位変換などにより容易にナビゲーションの精度は低下する。本方法は、精度もよく、簡便かつ安価で作成でき、3Dプリンターの普及により将来性が期待できると感じた。
ホームページ担当委員:竹内 幹伸