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2018-12-07

Topic No.127
ADAMTS-5の遺伝子多型とDTIで検した腰椎椎間板変性との関連

The Involvement of ADAMTS-5 Genetic Polymorphisms in Predisposition and Diffusion Tensor Imaging Alterations of Lumbar Disc Degeneration
Wu N et al. J Orthop Res. 2014 May;32(5):686-94

要約

はじめに:
椎間板は腰痛の原因であると言われている。ADAMTS-5は器質分解酵素であり、椎間板変性に関わる。この遺伝子多型であるrs151058はrs162502とともに椎間板変性(LDD)の疾患感受性遺伝子である可能性がある。

方法:
1)489人のLDD患者と558人のコントロールのDNAを用いた。NCBI SNP databaseとHapMap databaseから情報を得て、ADAMTS-5のSNPを20個検した。これらでcase control studyを行い、2群でアレル頻度を比較した。

2)50人の腰痛の既往のない症例に対して、3TのMRIを施行し、Sagittal DTI画像を作成した。関心領域を椎間板に設定してMD(mean diffusivity)mapを作成した。そこで1)の検討で得られた疾患感受性遺伝子と椎間板変性の程度を調べた。

結果:
1)3つのSNP(rs151058, rs229052, rs162502)に差が認められ、このうちrs151058が最も高い相関を示した。互いのSNPの関連をみるとrs151058はrs162502とともに最も強く椎間板変性に関連していた。

2)Rs151058のAAアレルを持っているとMD値が低下した。

コメント

椎間板変性の疾患感受性遺伝子はこれまで50個以上報告されている。本報告はそのうちの一つであるが、椎間板変性を定量化してそれと遺伝子との関連をみた検討は新しい。ただし臨床的なリスク評価を行うまでには、未だ結果が伴っていないように思える。椎間板性腰痛の遺伝子研究は未だ道半ばにある。

ホームページ担当委員:川口 善治